通報件数は年25%で増加。リスクの可視化と調査効率の向上
2020年4月、日立は世界約800社のグループ会社全体を対象に同システムの本格運用を開始しましたが、導入には巨大組織ゆえの困難も伴ったといいます。
「長年、自前の窓口を運営してきたグループ各社からは、本社の窓口に情報が集約されることへの抵抗感もありました。そこで、システム導入のメリットについて丁寧に説明してご理解いただくとともに、最初の半年間はローカル窓口を存続させつつ、半年後に一本化するという段階的な戦略を採りました」(小島氏)
導入効果は劇的なものでした。運用開始直後から通報件数は年25%程度のペースで順調に増加し続け、現在では年間約2,000件に達しています。
「外部ベンダーの導入により通報の抵抗感が薄れたためか、導入初日から通報が届き、効果の高さを実感しました。通報件数の増加は、不祥事が増えたからではなく、これまで隠れていた声が届くようになった“健全化の証”です。実際に経営リスクを内包する重要な通報も届いており、不正防止に大きく寄与しています」(八巻氏)。
また、匿名での双方向対話が可能になったことで、調査の質も大きく向上しました。
「システムを利用することで、通報者は匿名性を維持したまま、調査担当者とチャット形式でやり取りができます。資料の提出も容易になり、調査のスピードと精度は飛躍的に高まりました」(小島氏)
また、以前は各ビジネスユニットやグループ会社から届く通報件数を、半年に一度、膨大な時間をかけて手作業で集計していました。 「数値を出して報告するだけで精一杯だった」という状況は、NAVEX Oneの分析ツール「Custom Analytics & Benchmarking」の活用によって一変しました。最新の通報状況を即座に把握できるようになり、監査対応のスピードも向上しています。
「以前は困難だった“特定組織の通報一覧”の抽出も、今ではわずか1〜2分で完了します。地域やカテゴリーごとの絞り込みも自在で、特に監査担当メンバーから非常に喜ばれています。経営層へのレポートも、数分で精緻な最新データを提供できるようになり、より高度なガバナンス判断を支える基盤が整ったと感じています」(八巻氏)