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顧客事例

“Speak Up 文化”を育み、安心して働ける職場環境を醸成

グローバル ガバナンスのあり方を重要な経営課題と捉えたアサヒグループホールディングス株式会社では、企業規模の拡大に伴い、2024年にNAVEXの内部通報・インシデント管理システム を導入し、グローバル内部通報制度 「Speak Up」 を立ち上げました。その後、通報件数は順調に増加しており、本社によるグローバル・モニタリング体制も大きく前進しています。


アサヒグループホールディングス株式会社について

アサヒグループホールディングス株式会社は、ビールを中心とした酒類、飲料、食品で多様なブランドを世界で展開するリーディングカンパニー。『おいしさと感動に満ちたひとときを創造するリーダーとなる』 をグループ理念におけるOur Vision(目指す姿)として掲げている。 

Head of Corporate Secretary Office & Head of Legal 
Corporate Officer 
小田祐司 氏 (写真中央)

「問題が大きくなる前の段階で相談や通報が寄せられるようになりました。組織の健全性を高めるうえで非常に大きな効果だと感じています」 

弁護士/Senior Manager Legal 
岩﨑ちひろ 氏  (写真右)

「当初は本当に利用してもらえるのか不安もありましたが、周知活動に力を入れたこともあって想像以上に利用が進みました」 
 
Senior Manager Legal 
郭 松秀 氏 (写真左)
「匿名性を維持したまま質問や資料提出依頼が可能となり、事実確認をスムーズに進められるようになりました」

対象業界

グループの経営戦略・経営管理

従業員数

連結従業員数:28,560 名
(2025 年 12 月 31 日時点)

導入サービス

内部通報・インシデント管理、データ分析

主な課題: 

  • 各地域のグループ会社がそれぞれ独自の内部通報制度を運用しており、本社で一元管理ができていなかった 
  • 通報基準や受付方法が地域ごとに異なり、通報状況を横断的に比較・分析することが難しかった 
  • 匿名通報後のコミュニケーションに制約があり、調査が十分に進まないケースもあった 
  • ビジネスと人権への関心の高まりを受け、実効性のあるグリーバンスメカニズムの整備が求められていた

主な成果: 

  • 内部通報件数が導入前から大幅に増加
  • 本社でグローバル全体の通報状況をリアルタイムで把握可能に
  • 匿名双方向コミュニケーションにより調査の質とスピードが向上
  • 経営層へのレポーティングが効率化
  • グリーバンス メカニズムの機能も備えた内部通報制度が実現
A man talks on his phone while leaning against a glass wall in a modern office with large windows, circular lights, and several people working at desks in the background.
お客様課題

地域ごとに異なる内部通報制度の運用 : 本社からは見えなかった 「グループ全体の実態」

アサヒグループホールディングス株式会社(以下 「アサヒGHD」 )がグローバル内部通報制度の構築に着手したきっかけは、2023年に実施した 「グループ行動規範」 の全面改定でした。 

大型買収などを通じて海外従業員の比率が高まる中、「グローバル共通の価値観や行動基準を示すために行動規範を見直そう」 という大規模なプロジェクトが始動。その過程で浮かび上がったのが、内部通報制度に関する課題でした。 

プロジェクトの中心メンバーだったLegalの岩﨑ちひろ氏は、当時をこう振り返ります。

「『行動規範の違反を報告する方法』 の記載内容を検討するにあたり、グループの内部通報制度の状況を確認しました。すると、地域によって制度が異なり、グループ共通の通報窓口が存在しないことの弊害が浮き彫りになりました。

たとえば、ある地域では重大な不正行為や違反行為に通報対象を限定する一方で、別の地域では重大性を問わずあらゆる不正行為や違反行為に関する通報を受け付けていました。そのため、通報件数だけを比較しても実態を正確に把握することは難しく、本社としてグループ全体の通報状況を俯瞰することができていませんでした」

小田祐司氏は、データ集計や分析面における課題を感じていました。 
 
「各地域の通報件数は定期的に把握していましたが、手作業で行っていたため、グループ全体の傾向をタイムリーに把握し、経営へ報告するには限界がありました。また、報告用のデータ集計や分析にもかなりの労力を要していました」

Aerial view of a cityscape at sunset, featuring a dense cluster of tall skyscrapers with modern and classic architectural styles. The sky is partly cloudy with pink and blue hues, and sunlight reflects off the buildings windows.
ソリューション

なぜNAVEXを選んだのか:「利用」 と 「運営」 両面への高評価・グローバルで広く活用されている安心感

グローバル内部通報制度の構築にあたり、アサヒGHDは複数のベンダーを比較検討しました。選定にあたって重視したのは、利用者と運営側、双方にとっての 「利用しやすさ」 だったと岩﨑氏は説明します。 

「制度は存在するだけでは意味がありません。まずは利用者目線で、“誰もが安心して使いやすいシステムかどうか” を検討しました」(岩﨑氏) 

その点、NAVEXの 「EthicsPoint」 は、思い立ったときにどこからでもパソコンやスマートフォンから簡単に通報できる利便性と、匿名性が確保される安心感を兼ね備えていました。24時間365日の受付体制や多言語対応など、グローバル企業における運用に必要となる機能が充実していたことも評価のポイントでした。

運営面で安心材料となったのは、すでに欧州のグループ会社で NAVEX のシステムが利用されていたことでした。 

「システム利用者から実際の使用感について確認できたことに加え、グローバル企業への豊富な導入実績も後押しとなりました」(小田氏) 

経営層が特に魅力を感じたのは、内部通報制度と 「苦情処理(グリーバンス)メカニズム」 を一体的に運用できる点でした。取引先をはじめとするサプライチェーンにおける幅広いステークホルダーから懸念や苦情を受け付ける仕組みの整備は、以前から経営課題の一つでした。 

「NAVEXの起用により、内部通報制度の刷新と併せてグリーバンス メカニズムも構築できるため、経営層の理解と承認もスムーズでした」(小田氏)

Two women in business attire smiling and looking at a laptop screen in a modern office setting, appearing to collaborate on a project.

内部通報ではなく 「Speak Up」 : ”親しみやすさ”を追求した行動規範と通報制度

グローバル内部通報制度の構築にあたり、アサヒGHDは 「親しみやすさ」 に徹底的にこだわりました。その象徴が、グループ共通内部通報窓口につけられた 「Speak Up」 という名称です。 
 
「内部通報という言葉には、どうしても “告発” や“監視”  といったネガティブなイメージが付きまといます。そこで、“違和感があれば声を上げよう” という前向きなメッセージを込めて、『Speak Up』 と名付けました」(小田氏) 
 
全面改定された行動規範と一貫性のある周知策も、「Speak Up」の浸透に貢献しました。

「行動規範の全面改定にあたっては各地域の法務・コンプライアンス担当者も最初から参画し、世界中の従業員にとってわかりやすく、日常的に活用できる内容を目指しました。海外メンバーと一緒に作り上げたことで、海外拠点でも浸透しやすい流れをつくることができたと思います。」(岩﨑氏)

従来のコンプライアンスに関する固いイメージを払拭するため、コーポレートカラーであるアサヒブルーを基調としたデザインを採用。特定の国や人種を想起させないイラストを用い、25言語分の行動規範を制作しました。同様のイラストはSpeak Upのサイトや研修資料にも使用し、統一感のあるメッセージを発信しています。

A person types on a laptop keyboard with blurred orange lights and code lines in the foreground, creating a modern, high-tech atmosphere.
成果

通報件数は大幅に増加。“埋もれていた声”が届く仕組みへ

制度導入後、最も分かりやすい成果として現れたのが通報件数の増加です。 
 
導入初年度(2024 年度)は前年から通報件数が大幅に増加し、2025 年以降も引き続き増加傾向にあります。 
 
「当初は本当に利用してもらえるのか不安もありましたが、周知活動に力を入れたこともあって想像以上に利用が進みました。対応する側の負荷は増えましたが、それだけ生の声が届くようになったことを嬉しく思っています」(岩﨑氏)

A woman with long hair sits at a table, smiling and looking to the left. A laptop is open in front of her. The background features a wooden panel wall.
インパクト

制度全体への信頼性向上と、グループ全体のコンプライアンス水準の底上げ

アサヒGHDでは、件数の増加そのものを成果とは考えていません。むしろ重要なのは、それまで表面化しなかった声や違和感が届くようになったことです。 
 
「問題が大きくなる前の段階で相談や通報が寄せられるようになりました。早期に対応できたことで、職場環境の早期改善やリスクの未然防止につながったケースもあります。組織の健全性を高めるうえで非常に大きな効果だと感じています」(小田氏) 
 
その背景には、NAVEX 製品の高い利便性があります。 
 
パソコンやスマートフォンからいつでもSpeak Upシステムにアクセスできることに加え、匿名性が確実に確保されることへの信頼感も利用を後押ししました。アサヒGHD がこだわり抜いた 「シンプルでわかりやすい画面設計」・「親しみやすいデザイン」 も、定着に貢献しています。

また、匿名のまま通報者と継続的にやり取りできる双方向コミュニケーション機能によって、調査の質も向上したと、Speak Upの運用を担当する郭松秀氏は語ります。 
 
「以前は、匿名通報の場合、追加情報が必要になっても通報者へ連絡する手段がなく、調査が十分に進まないケースもありました。しかし現在は、匿名性を維持したまま質問や資料提出のやり取りが可能となり、事実確認をスムーズに進められるようになりました。また、通報者に進捗状況を伝えることもできるので、通報者の不安を軽減しながら調査を進められます」(郭氏) 
 
Excelによる集計作業が大幅に軽減され、経営層への報告や分析の効率化も実現したほか、各拠点で受け付けた通報やその対応履歴をシステムで一元管理できるようになったことで、グループ ガバナンスの強化にも貢献しています。 
 
「通報から対応完了までのプロセスがシステム上に記録されるため、案件が現場で揉み消されたり、対応が滞ったりするリスクを抑制できるようになりました。各拠点も今まで以上に対応の質やスピードを意識するようになったため、結果として制度全体への信頼性向上と、グループ全体のコンプライアンス水準の底上げにつながっていると感じています」(小田氏)

Two people walk side by side through a modern building with glass walls and greenery, engaged in conversation. Both wear ID badges, and natural light streams in from large windows in the background.
展望

取り組みや工夫を重ね、制度を 「育て続ける」

もっとも、制度導入はゴールではありません。 
 
「グローバル内部通報制度を維持する上で、各国で異なる関連法規制の把握・対応は継続的な課題です。NAVEX社の関連サービスを活用しながら対応していきたいと考えています」(岩﨑氏) 
 
「調査面では、“通報時に入力内容の抜け漏れを防ぐためのサポート機能”が追加されるとありがたいです。通報件数が増える中、調査をスムーズに進めるための機能はますます必要になると思います」(郭氏) 
 
アサヒGHDでは、CEOによるトップメッセージの発信をはじめ、周知キャンペーンの実施、ポスターやPCログイン時のポップアップ、パンフレット、クイズ形式の研修など、あらゆる手法を通じて Speak Up制度の浸透を図っています。しかし、もっと伸びしろがある、と郭氏は語ります。

「親しみやすい通報窓口を目指して、さまざまな工夫をしています。しかし、実際に通報を行うには勇気がいります。心理的なハードルをいかに下げていくかは、今後の大きな課題として捉えています」(郭氏) 

通報のハードルを下げるためにアサヒGHDが重視しているのは、通報一件一件に真摯に向き合うことです。 

「制度への信頼は一朝一夕には築けません。問題があればしっかり調査し、改善につなげる。そして、可能な限り、結果をフィードバックする。その積み重ねが何より重要だと思っています」(小田氏)

お話を伺った方々

コンプライアンスは複雑である必要はありません。

リスク管理の次なるステップを今日から始めましょう。