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エグゼクティブサマリーおよび地域別データハイライト

2026 内部通報・インシデント管理 ベンチマークレポート
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エグゼクティブサマリー

信頼は、組織が保有する最も重要な資産の一つであり、その価値は日々試されています。文化、運用効率、規制遵守、企業イメージは、信頼によって形作られると言うこともできます。その信頼の有無、すなわち従業員や第三者が、報告した懸念が報復を恐れることなく適切に受理され対処されると信じているかどうかを示す、最も明確な指標の一つが内部通報制度です。

 今 年の「内部通報・インシデント管理ベンチマークレポート」は、4052の組織から収集したデータを反映しており、約7,700万人の従業員の方々と、2025年に受理された237万件の報告を対象とした、同種の調査としては最大規模のデータセットとなっております。経済的不確実性、人員再編、地政学的緊張、そして人工知能の導入加速が特徴となった近年、内部通報の動向は、組織とその従業員がこれらの状況をどのように乗り越えているかについて重要な示唆を我々に投げかけてくれます。

 当社の分析によれば、内部通報制度は広く使用され、いくつか注目すべき変化はあるものの、その有効 性は維持されています。通報件数は過去最高を更新し、受付チャネルは進化を続け、事実認定率はやや穏やかになり、ケースクローズまでの時間の中央値は上がりました。これらは、通報しやすい環境が整ってきたことと、調査がさらに複雑になっていることを反映していると思われます。 

本レポートは、取締役会、経営層、コンプライアンス責任者の皆様に対し、スピークアップ文化、調査の有効性、組織としての対応力を評価する上で有益なベンチマークをご提供することを目的としています。

主なポイント

  • 通報件数は過去最高を更新し、 組織間のばらつきもさらに拡大

    従業員100人当たり通報件数の中央値は、再び過去最高値に達しました。従業員100人あたりの中央値は2025年に 1.65件となり、過去2年間に記録された 1.57件という過去最高値から、さらに約5%の増加です。これは特に注目すべき点で、これまで経 済的不確実性の時期には、通報者が自分に注目が集まることを懸念し、通報件数が減少する傾向がありました。新型コロナ流行時には、その傾向が顕著に見られました。

    全体の通報件数の増加と一致して、通報件数が非常に少ない組織は減少し、逆に従業員100人あたりの通報件数が高い組織が増えています。大企業を除くほぼすべての組織規模で通報件数が増加しました。なお、大企業についても、依然として過去5年間の高水準に近い状態を維持しています。

    Web、ホットライン、その他のチャネルなど、すべての受付チャネルを追跡している組織は、限定的な チャネルのみを追跡している組織と比べて、懸念事項に対する可視性が一貫して高い傾向があります。コンプライアンス担当者にとって、これは改めて 明確な現実を示しています。すなわち、受付状況の 追跡の網羅性が、リスクの把握精度に直接影響す るということです。組織の全体的なリスクプロファイルを理解するためには、すべての報告チャネルをモニタリングすることが不可欠であることは変わりません。

    同時に、通報件数が増加したことで対応体制にこれまで以上の負荷をかけることになり、その影響はケースクローズまでの期間が延びている点に表れてい ます。

  • 通報件数の増加がケースクローズ所要時間延長の原因に

    今年のデータで最も重要な発見の一つは、ケースクローズまでの期間に関する結果です。ケースクローズ時間の中央値は前年の21日から28日へと7日延 び、33%の増加となりました。この傾向は組織規模にかかわらず見られ、ほぼすべてのリスクタイプで 調査期間の長期化が確認されています。

    これまで比較的早期に解決される傾向にあった 職場での礼節(Workplace Civility) においても、顕著な増加が見られました。中央値は19 日から31 日へ と延びています。これは、ケースの事実関係が複雑 化している可能性や、リソースの変動、ワークフローの変化により、検証やレビューのプロセスが追加されたことの表れかもしれません。こうしたケース調査の遅延は職場文化に悪影響を与える恐れがあるため、この指標は継続的に注視する必要があります。

    朗報は、100日以上未解決になっているケースの割 合が減少したことです。しかし、10日以内にクローズされたケースは大幅に減少しており、対応体制への負荷が高まっていることが示唆されます。

    ベンチマークデータだけでは根本原因を特定することはできませんが、いくつかのマクロ要因が調査期間に影響している可能性があり、これらを検討する価値があります。たとえば、人員削減や地政学的・ 経済的プレッシャーの高まりが、より複雑なケース の増加や、レビュー期間の長期化につながっていると考えられます。

    さらに、本レポートとしては今回が初めての観点となりますが、AI 利用ツールのケース管理プロセスへの統合が進むことで、手順が追加される可能性があります。たとえば、自動 分析の後に人による検証を行うことです。これによってより深い洞察が得られるものの 、時間が延びてしまうことが考えられます。

    要因が、業務量の増加、ケースの複雑化、プロセス調整のいずれであるかにかかわらず、ケース解決をタイムリーに行うことは、通報者の信頼を維持するために欠くことができません。

  • 通報傾向は、組織が直面するリスク領域の変化を反映する

    「職場での行為」はこれまでも、受領された通報の中で最も大きなカテゴリであり、その中で最も多いリスクタイプの位置を占めているのが「職場での礼節」です。しかし 、本年は「職場での行為」全体の通報件数がわずかに減少しました。

    一方で、職場での礼節、報復、政治活動、環境、差し迫った脅威など、いくつかのリスクタイプでは、報告頻度・中央値のいずれも増加が見られます。これらのカテゴリはより深い事実確認を必要とする場合が多く、2025年に見られた調査期間の長期化の一因になっている可能性があります。

    報復の通報は、上級管理職が特に注意すべき領域です。通報件数は増加したものの、事実認定率は低下し(後述)、ケースクローズまでの中央値は32日から35日に延びました。報復への懸念は、従業員が安心して声を上げられるかどうかに大きく影響します。そのため、取締役会や経営層は、この指標を継続的に注視する必要があります。報復の通報件数が少ないことは、必ずしも報復リスクが低いことを意味しないからです。

    財務関連の通報傾向は、コロナ時の変動を経て引き続き正常化に向かっています。会計、監査、財務報告、資産の誤用を含む財務および資産関連の懸念は、過去のレベルに近づきました。

    これらすべてを踏まえると、スピークアップ制度は、 より幅広い組織リスクを表面化させていることが示唆されます。経営陣が注意すべきは、調査がより複 雑で部門横断的になる可能性であり、コンプライアンス、人事、法務、オペレーションなどの間で、これまで以上の連携が必要になることです。

  • 事実認定率はわずかに低下したものの、 歴史的には依然として高い水準に

    2024年に過去最高を記録した後、2025年の全体的な事実認定率はわずかに低下しました。中央値は44% と、前年から2ポイント下がりましたが、コロナ以降の期間を特徴づける「40%台半ば」の範囲内にとどまっています。減少自体は注目に値するものの、長期的な傾向と比較すると、依然として高い水 準にあります。

    頻度の観点では、24のリスクタイプのうち9タイプが50%以上の事実認定率を示しました。中でも、「人・動物・財産に対する差し迫った脅威」は、 最も事実認定される確率が高く、83%という高い事実認定率となりました。内部報告制度は緊急サービ スではありませんが、この 一貫して高い事実認定率は、深刻な安全上の懸念を特定・検証する上 で、スピークアップ制度が果たす重要な役割を浮き彫りにしています。また、国際取引に関連する事案は56%の確率で実証され、規制監視が進化する領域では、引き続き継続的な監視が重要であることが示されています。

    「 職場での行為」カテゴリに含まれる 7 つのリスクタイプのいずれも、事実認定率50%以上には達しま せんでしたが、職場での行為カテゴリ全体の中央値は過去5年間にわたり38~40% と、非常に安定した水準を維持しています。このような安定性は、事案ごとに状況が複雑で事実関係が微妙に異なることが多いこのカテゴリにおいて、評価基準が一貫して適用されていることを示唆しています。

    報復に関する通報の事実認定率は16%で、前年比で2ポイント低下し、全体と比べても大幅に低い水準となりました。報復への恐れが従業員の通報行動に大きく影響することを考えると、この差は慎重な監視を必要とします。取締役会や上級管理職は、報復の申し立てについて適切な厳格さで調査が行われていることを確認するとともに、組織として、メッセージや実行が報復への懸念に積極的に対処しているかを確かめる必要があります。

    通報件数が増加し、規制の優先事項が変化し、ケー スが複雑化している状況を踏まえると、事実認定率がある程度緩やかに低下することは、必ずしも予想外ではありません。

  • より段階的で多様な対応を反映する是正措置

    対応後の措置内容のデータを見ると、組織がより慎重かつ区分された是正措置を適用していることが示されています。事実認定されたケースにおいて 「措置なし( No Action)」 となる割合は過去 5 年で最も低い水準に減少しており、組織がより積極的に対応を取 って いること がうかがえます。同時に 、トレーニングや懲戒処分が対応後の措置として増加する一方で、雇用契約の終了は、資産の不正使用や会計・監査・財務報告など、主要なリスクカテゴリのいくつかで減少しました。

    これらを総合すると、より段階的なアカウンタビリテ ィ(責任を取らせること)のアプローチが進んでいると言えます。端的に解雇へ進むのではなく、教育や記録に残る懲戒処分、監督の強化などによって改善への期待を強調するケースが増えていることが示されて います。ただし、この変化には意図せざる影響も考えられます。

    教育や懲戒処分の記録は、配慮ある適切な対応である場合が多いものの、解雇に比べると従業員全体から見えにくいという特性があります。是正措置が外から見えにくい場合、組織は適切なコミュニケー ションや上級管理職からのメッセージを通じて、懸 念が真剣に受け止められ、公平に対応されていることを示す必要があります。アカウンタビリティが「見える」ことは、実際に責任を取ることと同じくらいスピークアップ文化には重要です。

    また、組織の規模が傾向を左右することも変わりません。小規模組織では「措置なし」 の割合が高く、大規模組織では契約終了の発生率に年ごとの変 動が見られ、ガバナンス構造や執行方針に違いがあることがわかります。

    取締役会や経営層にとって、こうした対応後の措置の傾向は引き続き注視すべき領域です。一貫性、比例性、透明性を確保した是正措置は、通報件数が増 加し、調査の複雑性が高まる中で、スピークアップ制度への信頼を維持する上で不可欠です。総合的に見ると、通報件数の増加、「措置なし」結果の減少、 調査期間の長期化は、アカウンタビリティの低下ではなく、手続きの厳格化が進んでいることを示していると考えることができます。監督を継続的に行うことで、懲戒判断がしっかりと記録され、組織全体で公平に適用されていることを確保することが重要 です。

  • 報告チャネルは引き続き進化

    Webからの報告は、頻度の点で引き続きホットラインを上回っています。従業員のホットライン利用は3年間で減少した一方、Web利用は増加しました。その他のチャネルを通じた報告もわずかに増えており、ホットラインや Webといった正式なプラットフォーム以外から寄せられる懸念を適切に把握することの重要性が高まっています。

    Web、ホットライン、その他のチャネルなど、利用可能なすべての受付経路を追跡している組織は、限 られたチャネルのみを追跡している組織と比べて、従業員100人あたりの通報件数の中央値が明らかに高い という結果になっています。この差は重要な ポイントを示しています。すなわち、可視性が高いほど、リスクの洞察も深まるということです。すべての報告経路を一元管理・モニタリングしていない場合、あるいはデータがバラバラのシステムに分散している場合、組織は実際のリスク状況を過小評価してしまう可能性があります。

    Webからの報告は匿名である可能性が高いものの、事実認定率は引き続き高い水準を示しています。匿名Web報告が増加していること、そして事実 認定率が安定していることは、デジタルチャネルが引き続き信頼性の高い実用的な情報を提供していることの表れです。また、匿名の通報者とのフォローアップ対応が過去5年で最も高い水準に達してお り、匿名性が必ずしも組織との有意義な対話を妨げるものではないことが明らかになっています。

    第三者通報者がWebを利用するケースも増加しているとはいえ、第三者からの通報の約半数はいまだホットライン経由です。報告行動が変化を続ける中、組織はすべてのチャネルが利用しやすく、広く周知され、統合されたケース管理体制に組み込まれていることを確保し、情報の一貫した可視化を維持する必要があります。

  • 第三者による通報は独立した重要なリスクシグナル

    2025年には、通報者属性として特定されたうち約10%を第三者が占めていますが、第三者による通報は、複雑なサプライチェーンやグローバルな事業運営において、事業誠実性や財務リスクに対する外部 からの可視性を提供してくれます。

    第三者からの通報は、従業員による通報と比較すると、会計・監査・財務報告や事業誠実性に関する懸念が寄せられることが断然に多く、取引・財務・規制上のリスクに対する、外部だからこその視点があることが浮き彫りになります。

    第三者による通報の匿名性は従業員による通報ほど高くはなく、外部ステークホルダーが通報を行うとき、従業員とは異なるアプローチを取る可能性が示唆されています。また、第三者からの通報が「措置なし」と判断される割合は過去3年間で着実に減少しており、これらの懸念がより意味のあるレビューや対応につながっていることを改めて示す結果となりました。

    外部ステークホルダーのための利用しやすく信頼性のある通報チャネルを維持することは不可欠です。 彼らの独自の視点が、組織内部では見えない、あるいは報告されずに放置され得るリスクを浮き彫りにすることがあるからです。

  • 未知で見過ごされがちなリスクを示す「その他」カテゴリ

    この年のレポートで最も興味深く、説明の難しい発見の一つが、この「その他」リスクカテゴリに関する結果です。これまで「その他」は、既存のリスクカテゴリに明確に当てはまらない事案の受け皿として扱われてきました。2025年には「その他」の通報件数はわずかに減少したものの、このグループでいくつか注目すべき変化が見られました。まず、「その他」のケースクローズまでの時間が大幅に増加しました。また、事実認定されたケースにおける雇用関係の終了は前年比で2倍以上に増えました。同時に、このカテゴリは事実認定率も上昇しており、全体の事実認定率がやや低下した中での増加となっています。

    また、事実認定されたケースにおける雇用関係の終了は前年比で2倍以上に増えました。同時に、このカテゴリは事実認定率も上昇しており、全体の事実認定率がやや低下した中での増加となっています。

    この傾向が見られる組織は、「その他」に含まれる事案が、組織文化や業務運営の変化を反映しているのか、または分類の一貫性や認識を改める必要があるのかを判断することが重要です。

  • 組織構造が通報・対応パターンに影響を与える

    組織形態ごとに通報動向を分析すると、通報行動や措置内容に意味のある違いがあることがわかります。たとえば 、データセット全 体に占める割合は最も小さいものの、行政機関は中央値で最も高い通報件数を示し、上場企業は最も低い水準となりました。また、非上場企業は、上場企業と比較して、事実認定率が高く、雇用契約終了の頻度も高くなっています。

    これらの違いは、規制監督、ステークホルダーの期待、ガバナンス枠組みの違いを反映していると思われます。組織形態そのものがプログラムの有効性を決定するわけではありませんが、通報や対応のパターンがどのように現れるかには影響するようです。そのため、経営層にとっては、形態の似ている組織とベンチマークを行うことが特に重要であり、傾向を適切に解釈し、有意義な比較を行うための手がかりになります。

  • 利益相反の申告は組織文化について層の厚い洞察を与える

    利益相反の申告は、組織文化を捉えるための、もう 一つの前向きな視点を提供します。2025年には、従業員100人あたりの申告件数の中央値が3.80件となり、EMEA/APAC地域よりも米国で活動が多く見られました。一般社員が最も多くの申告を占めている点は 変わりません。

    一般社員においては、関係性や外部での就業に関わ る申告が前年比で増加しており、利益相反に対する認識が高まっていることが示唆されています。外部就業に関する申告の増加は、労働市場の広がりや経済状況の変化を反映している可能性もあります。一方、経営層に最も頻繁にあったのは、取締役職や外部投資に関する申告ですが、これは驚くに至りません 。

    ホットライン通報とは異なり、利益相反の申告は、疑わしい不正行為ではなく、早期の透明性を反映している場合が多くあります。申告活動が活発であることは 、ポリシーへの理解度が高いこと、期待される行動が明確であること、そして潜在的な利益相反がコンプ ライアンス上の懸念へと発展する前に従業員が安心して表面化できる文化があることを示していると考え られます。

    このデータセットがさらに成熟していくことで、こうした積極的な申告慣行が通報件数、事実認定、対応後の措置内容とどのように相関するかについて、より深い洞察が得られるようになるでしょう。ガバナンス担当者にとって、申告は、より事後反応的な指標である 内部通報データを補完する重要な要素であり、正式な申し立てに至る前にリスクがどのように特定・管理されているかを把握するための可視性を提供する役目を果たします。

  • 信頼とアカウンタビリティの基盤としてのコンプライアンスプログラム

    2025年のホットラインおよびケース管理に関するベ ンチマークデータを見ると、通報制度が引き続き、着実に活用されていることがわかります。調査結果から浮かび上がってくるのは、可視性の拡大、複雑性の増大、アカウンタビリティに対する期待の変化によっ て特徴づけられるコンプライアンス環境です。組織がより多くのチャネルでより多くの懸念を把握するにつれ、調査への負荷は高まり、統一性と比例性のある対応がこれまで以上に重要になっています。

    スピークアップ制度は、単なるデータではない、組織文化が実際にどのように機能しているかに関するインサイトを提供します。通報の傾向から、従業員がどこで安心して懸念を示すことができるのか、組織がリスクをどのように評価しているのか、是正措置がどのように適用されているのかが見えてきます。利益相反の申告は、こうした情報に加え、潜在的なリスクが正式な申し立てへと発展する前にどのように表面化し、対処されているのかを把握できる、より前向きな視点をもたらします。

    このような環境において、ベンチマークが欠かせないガバナンスツールであることは変わりません。通報件数、事実認定率、調査期間、措置内容、申告活動が、形態の似ている他の組織と比較してどう違うのか、また似ているのかを理解することで、健全なばらつきなのか、潜在的リスクのシグナルなのかを区別 することができます。

    取締役会、CEO、コンプライアンス担当者にとって、今後の進むべき方向性は明確です。つまり、通報および申告活動の全体像を把握し続け、調査能力を件数と複雑性に見合う水準に維持し、アカウンタビリティが公正かつ納得できる形で実践されるようにすることです。経済的なプレッシャー、技術変化、労働力の移行が進む中において、強力なスピークアップ制度と申告制度の有無は、組織の健全性を示す最も明確な指標の一つであり、組織が自らの価値観 を実際の行動でどれだけ体現しているかを示すもの でもあります。

  • 経営陣のための検討事項

    今年の調査結果に照らし、取締役会とリーダーシッ プチームが検討すべき優先事項は、以下のようになります。

    取締役会および経営層向け

    • すべての通報および申告チャネルで完全な可視 性を維持し、データが一元化され、比較可能で、状況に応じてレビューされるようにすること
    • 通報件数の増加やケースの複雑化に対応できるよう、調査体制およびガバナンスの監督機能を充実させること
    • 是 正 措 置や報復の動向、およびベンチマークデータを継続的にモニタリングし、組織全体で、公正で比例性があり信頼できるアカウンタビリ ティが維持されるようにすること

    コンプライアンス担当者向け

    • Web、ホットライン、分散型チャネルなど、すべての受付経路を統合し、一元的なケース管理フレームワークの中で運用することで、可視性とリスクインサイトを最適化すること
    • 調査ワークフロー、人材配置、分類方法を見直 し、解決までの期間の長期化や新たなリスクパ ターンに対応できる体制を整えること
    • 明確なコミュニケーションと一貫した是正措置の適用を通じて、スピークアップ制度への信頼を強化すること

地域別ベンチマーク比較

グローバルベンチマークが重要な基準点となる一 方で、地域別の比較は、世界各地域で通報状況や調査結果がどのように異なるかにつ いて、インサイトを増強します。文化的規範、規制環境、組織構造の違いによって、従業員が懸念をどのように報告するか、また組織がケースをどのように管理するかが変わってくる場合があります。以下の地域別ベンチマークでは、北米、南米、欧州、アジア太平洋地 域(APAC)について、通報件数、匿名性、事実認定率、ケースクローズまでの期間、受付チャネル、リスクカテゴリの分布を比較しています。

地域指標をグローバルベンチマークと比較すると、いくつかの顕著な違いが明らかになります。通報件数は南米が最も高く、従業員100人あたり2.85件で、グローバル中央値の1.65 件を大きく上回っています。一方、欧州(0.77 件)とAPAC(0.83件)はかなり低い水準にあります。南米のデータについては、他地域に比べて参加組織数が少ないため、指標が外れ値の影響を受けやすい点に留意する必要があります。それでもなお、通報件数の高さが南米で一貫している点は注目すべきです。

匿 名報告の割合も北米(52%)を除く地域でグロー バ ル中央値(55% )より高く、特 にAPAC(64%)、南米および欧州(いずれも62%)でその傾向が顕著です。調査期間にも地域差があり、北米は中央値26日で最も早くケースをクローズしている一方、 欧州とAPACはどちらも中央値51日と時間がかかってます。受付チャネルの違いも明確です。南米では Web報告が75%を占めており、欧州やAPACにおいても主要なチャネルとして利用されています。一方、北米では電話、Webその他の受付方法がより均等に分布しています。

リスクカテゴリの分布は地域を横断しておおむね一 貫しており、「職場での行為」が世界的にも地域別でも最大の割合を占めています。ただし、地域差も見られます。事業誠実性に関する通報はAPACと南米で割合が高く、会計・監査・財務報告に関する懸念は北米よりも欧州とAPACで多く見られます。

地域データの ハイライト

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