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効果的なコンプライアンス調査の進め方

内部通報を含めた、通報に関する調査の進め方には、絶対にこうすべきという方法は存在しません。一方で、絶対に避けるべきことは存在しています。 

本ブログ シリーズでは、調査に初めて取り組む担当者やチームのためのベストプラクティスをご紹介します。経験豊富な担当者のスキル向上・チーム内での統一したアクションのためにも、ぜひお役立てください。
 

1. 最初の案件が持ち込まれる前に、「良い」調査とはどのようなものかを定義する

コンプライアンス部門や調査チームは、多様な人材で構成されています。調査経験を豊富に持つメンバーもいることでしょう。

しかし一方で、人の経験は様々です。異なる背景や状況下での経験や、リーダー層から何を期待されるかが異なれば、何を基準として「良い調査」とするかの理解も大きく異なっても不思議はありません。

この視点は意外なほど単純でありながら、しばしば見落とされがちです。これを考えると、「いま、自社において、調査には何が期待されているのか」について、チーム全員の認識を一致させることはきわめて重要といえます。

以下は、議論する価値のある項目です。もちろん、この項目が全てではありません。どのような項目を議論するかも含め、チームでディスカッションを行うことを推奨します。
 

  • 調査とその他の種類の問い合わせを区別する基準は?
  • 何をもって調査の終了とするか?
  • 是正措置は調査期間に算入されるべきか?
  • すべての調査報告書に必ず含まれるべき要素とは?
  • 通報者への進捗報告は、どの程度まで行うべきか?
  • 最も重視すべき KPI は?

意見統一の会議を行った後は、決定事項をドキュメンテーションとして保存し、部門に新しく加わるメンバーのためのコンプライアンス導入資料に保管しておくことは重要です。

可能であれば、人事部門やその他の調査担当部署と基準を共有し、企業全体での統一を図ることも有益です。

ワンポイント アドバイス:ドキュメンテーションが最新の状態であり、自社の事業や運営に関連性があることを適宜確認するようにしてください。

人員数や事業規模、運営体制等が変われば、調査のベストプラクティスも変化するべきです。オンボーディング資料に単に新しいドキュメンテーションを追加するだけでなく、定期的に見直しを行いましょう。

2. できるだけ早い段階でタイムラインを作成する

調査担当者にとって最も役立つツールのひとつは、ごくありふれた「時系列表」です。これは、特に複雑で厄介な事件において非常に価値があります。

時系列表の作成は簡単です。資料や聞き取りのメモを見直し、関連する出来事や会話のタイムラインを作成してください。何が起きたかを裏付ける証拠を明記し、信頼性を適切に評価します。例えば、「記録された事実」と「証人の証言」を区別できるようにしてください。

何がいつ起きたかを極めて正確に把握できるようになると、文脈が自然とまとまり、明らかな疑問点や空白が浮かび上がってくることが非常に多くあります。

紙面で整理することで、調査担当者のスキルレベルに関係なく、時系列や期間の把握が明確になります。

**ワンポイント アドバイス:**資料や聞き取りメモから出来事を抽出して、時系列の初稿を作成することは、チームの新人メンバーが調査業務に本格的に取り組むための非常に良い学習の機会となります。また、ベテランの負担を軽減し、戦略の策定や聞き取りの実施に集中できる環境づくりにも役立ちます。
 

3. 結論を出す前に事実に焦点を当てる

調査担当者が単に何が起きたのかを知ろうとするのではなく、申し立てを読みながら早合点したり、コンファメーション バイアスを満たすような事実を探したりするのは、調査を誤った方向に進めてしまう原因となります。

これを避ける方法の一つは、前述したように、時系列記録を作成するという客観的な作業を行うことです。もう一つのアプローチは、調査資料に ジャスト・カルチャーの指針を取り入れることです。

具体的には、調査文書において、個人の行動ではなく、関連性のある組織的な要因を記載すること、聞き取り調査を事実確認の任務として捉えること、調査担当者自身にバイアスがないか確認するよう促すこと、そして適切な場合には、これが組織にとっての「学びの機会」であり、デフォルトで懲罰的な措置ではないことを調査担当者に再認識させることなどが、最低限の要件として挙げられます。

以下は、調査担当者が参照し、自問自答するのに役立つコーチングの質問例です。

  • どのような説明が妥当か?
  • 各説明を裏付ける証拠は何か?
  • 各説明と矛盾する証拠は何か?
  • 曖昧な証拠は何か?

ワンポイント アドバイス: 定期的なピアレビューの仕組みを確立しましょう。

調査担当者が互いの調査記録をレビューし、チーム全体として改善を図るために、支援的かつ心理的に安全なフィードバックを提供できるようにすることが目的です。

自分の仕事がレビューされる可能性があるという認識は、ドキュメンテーションに組み込まれる情報が結論を裏付けるものであることを確実にするための適切な方法です。倫理・コンプライアンス調査担当者の大規模なチームに所属していない場合でも、人事部門の調査担当者、内部監査、あるいはその他のガバナンスおよび保証機能を担う部署と協力して、この取り組みを実施することは可能です。
 

4. 調査期間を通じ、一貫してコミュニケーションを図る

たとえ、進捗状況の報告や、調査結果および調査の結末を通報者に伝えることが一般的ではないとしても、通報プロセスに対する信頼を築く機会は存在します。

この点に関して、すべてのコンプライアンス部門に活用を推奨したい重要なタイミングの一つは、調査が行われる「前」です。この機会を利用して、通報者が何を期待でき、何を期待できないかについて、事前に期待値を設定しましょう。

ある企業では、行動規範を通じてこれを行い、通報者への約束を明記しています。一般に公開されている文書ほど透明性の高いものはありません。

また、オープンな場を設け、チーム全体に調査プロセスの謎を解き明かすことも有効です。調査プロセスの透明性は、組織内の信頼を醸成するのに役立つと考えられるからです。

このトピックに関しては、次のようなよくある質問を取り入れるとよいでしょう。

「通報をした場合、調査担当者は私の指示に従い、調査の経過やどのような懲戒処分が下されたかについて、詳細な報告をしてくれるはずですよね?」

その場合、次のような回答でその認識に対処する必要があります。

「期待に沿えないお答えになるかもしれませんが、調査プロセスに関与する権利や、調査チームが何を行ったか、あるいは調査の結果について逐一説明を受ける権利は、本来存在しません。機密保持は、調査において我々が遵守すべき重要な価値観です。不正行為を特定するための情報提供には感謝しますが、通報者やその上司の方々は、求められた場合に質問に答える以上の主導的な役割を期待すべきではありません。」

調査の終了時に結果を調査担当者に伝える必要はありませんが、調査終了時に連絡を取り、当該従業員からその体験に関するフィードバックや、コンプライアンスチームが 「スピークアップ」 プロセスを改善するための提案を求めることを検討するとよいでしょう。

その際、次のような質問を投げかけるのも有効です。

「もし今後、不正行為を目撃した場合、報告していただけますか?」

ワンポイント アドバイス:調査終了後、数年間は通報者と定期的に連絡を取り合い、社内でのキャリアの進展や成功状況を確認しましょう。

「長期的な」 報復行為がないか監視することも、導入すべきベストプラクティスの一つです。
 

5. 個別の事案を超え、パターンを特定する

企業全体で同じ統制フレームワークが採用されている場合、事業の一部門で発生した不正行為は、組織全体の弱点を浮き彫りにすることがあります。

海外腐敗行為防止法(FCPA)の分野の例で説明すると、世界の異なる 4 地域で 4 つの異なる不適切な誘引スキームが明らかになった FCPAの執行措置 について考えてみてください。1 つの国や部門で問題が発生し得るなら、他の場所で発生しないという保証はありません。

根本原因分析を調査プロセスの標準的な一部とすることで、調査担当者は、不正行為が発生するに至った組織的または構造的な脆弱性に対処する際、より広い視野を持ち続けることができます。

ワンポイント アドバイス:段階的な根本原因分析ガイドを作成しましょう。

調査チームのメンバー全員が、根本原因分析に関する正式な研修を受けているわけではありません。実際、大半のメンバーは受けていないと思われます。

倫理・コンプライアンス調査チームが活用できる根本原因分析の手法は複数存在します。特に有用であると考えられる方法を複数か選び、具体例を交えてチームにその進め方を示してください。

全 2 回にわたる本シリーズの第 2 弾もぜひご覧ください。さらに 5 つの調査ベストプラクティスをご紹介しています。

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